MR(医薬情報担当者)研修

製薬業界を取り巻く情勢は、予想以上に大きく変化しています。

とくに営業部門の主力を占めるMRの教育においては、規定研修を順調にこなしても、医療現場から明確な信頼を得られていないのが実情です。

今や、MRは担当製品に関わる処方提案について、医師と同水準に討議できる高度な実力を求められています。

全国的に訪問規制が強化されている中で、医師との面談時間がさらに減少すれば、現場経験を通じた自然な成長を期待できません。

薬剤師や看護師など、他の医療専門職との関わり方についても困難を抱えています。私は現役の臨床医として、2006年から各社のMR研修に関わってきました。

指導面で過去の成功体験が適用しにくいと悩んでいる教育担当者は多く、望ましいMRのスキルも現状に合わせた再定義が必要です。 

 

外来診療ロールプレイング研修

模擬症例
模擬症例

深刻なのはMR教育において、処方決断をする医師たちの”診断根拠”を、会社側が教えにくくなった点です。
自由訪問のため、医局で医師たちに直接質問できた時代は、教育側もMRも深く悩む必要がありませんでした。
こまめに訪問すれば、対面でそれぞれの診断根拠を教えてもらうだけの時間的余裕があり、さらには飲食接待の最中に細かく聞くことも可能だったのです。
「足で稼げ」は「直接会って学んでこい」と同義でもあり、医師から教育を受ける究極のOJTを兼ねていました。

医師の診療というのは、2択問題の連続です。
処方をするか、しないか。
検査をするか、しないか。
告知するか、しないか。
疾病の治療では、患者それぞれに対する膨大な選択肢の中から、最短経路で解答を求めるフローチャートのごとく、たくさんの2択を繰り返していきます。
しかも脳内では猛烈なスピードで決定していくので、診療の深い内容は、部外者には理解しにくい。
MRの立場としては、自社がターゲットとする患者に対して「担当製品を処方するか、しないか」の選択につき、医師から思考結果を聞き取ることが重要なのですが、医師と一緒にいなければ口頭では教えてもらえません。
社内で悩むより、処方をした医師本人の考え方を知ることの方が、ずっと早く、重要なのです。
さらには、医師が悩んだ結果の選択をMRが学ぶことで、MR自身の思考も磨かれ、もっと専門家寄りになっていきます。 

MRの表現力向上

MRが置かれた窮屈な言動制限と、退屈さから眠くなる医療従事者たちとのすれ違いを冷静に考えれば、「MRは驚くべき表現力を身につけて、相手を予想外に驚愕させる」方法がもっとも良いと考えています。
しかし、現状ではCA経験者からのマナー研修はあっても、本格的な表現力向上を狙うMR向けプログラムは見かけない。
MRが素晴らしいプレゼンターになるために、時間と費用を投入して、専門家から訓練を受ける機会が今後は非常に重要になると思います。

とくに、会場内で多くの聴衆に聞き取りやすい声の出し方、抑揚の付け方、表情の変化。
これらは実は、舞台に立つ俳優の技能である、と私は考えています。
連日の公演中でも間違えない正確な台詞回し、多くの観客を魅了する豊かな感情表現、雰囲気の演出。
昼の製品説明会が、MRにとっての晴れ舞台であると捉えるならば、”プロの俳優からMRが指導を受ける機会”が社内研修としてあっても良いでしょう。
MRには、一定のプレゼンテーション用台詞やキーメッセージが存在するので、俳優との重複点も多い。
もちろん、ただ俳優から表現力そのものを習うだけでは不足であり、MRが目指すべき職業スキルと同時に学ぶことが必須です。
そうでなければ、中身が変わらず台詞回しだけが妙に仰々しい、大根役者のようなMRになってしまいます。


廊下では静かなMRが、昼の説明会が始まった途端に豹変し、生き生きとしたプレゼンテーションを面前で始めたら、そのギャップに聴衆は驚くことでしょう。
地声でも部屋の隅々に声が響き、重要なポイントを分かりやすく説明できたなら、MRを無視して居眠りする聴衆はいなくなると思います。 

疾患領域別のMR教育

医療用医薬品としての基本薬効が良好であれば、黙っていても驚くほど売れたのが各社の主力降圧剤でした。近年の高血圧治療においては、KOLが中心となって国内の標準治療ガイドラインを設定してきたことで、一般医へのMR活動が容易になり、想像以上の営業成果を得ることができたのです。ところがARBのジェネリック医薬品でさえ続々と発売されている現在では、国内外の有名エビデンスや、学会発表に依存したMR活動に限界点も見えてきました。医療現場で求められる降圧剤の情報も、DPCに矛盾しない適切な処方の組み合わせへと、コスト意識を含めて変わりつつあります。合剤以外の新薬が少なくなる今後は、高血圧領域のMR教育は基本部分を共通化し、各社が蓄積した知恵を結集すべき時期に来ています。 

 

処方しやすいインクレチン関連薬の登場により、国内の糖尿病治療は大きな変化を迎えています。既存の内服薬やインスリン製剤に加えて、新たな薬効の製品群が加わったことで、毎年の各社収益にも予想以上の影響が出ています。とくに、これまで糖尿病治療薬を揃えていなかった製薬企業においては、担当MRの教育をどのように実践するかという難しい課題が生じています。重要な収益源への育薬を目差す中で、自社エビデンスやコプロ先の情報に依存するだけでは、医療現場からの細かな需要に応えることは難しいままです。当セミナーでは、疾患領域別のMR教育というコンセプトを掲げます。共通カリキュラムの導入によって、糖尿病治療薬を扱う各製薬企業が、費用対効果の高いMR教育を実践すべきです。MR教育担当者には、他社製品を含めた糖尿病治療を医師並みに詳しく学び、部下の指導に役立てる姿勢が求められています。   

 

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